ジャッキー

不動産業界で働く前、東京六本木の飲食店で働いていました。そこで出逢った人たちをたまーに思い出します。ある夜、系列店から一本の電話が入りました「今から団体で30人くらい、そっちに行くから、用意していて」。私が働いていたスポーツカフェの奥にあるVIPルームは、急ピッチでグラスなどを用意しました。

それから数分後、既にほろ酔い状態の団体客がVIPルームに入ってきました。私はその中の一人を見て、ハッ、としました。まさか!? ジャッキー!? チェン?! あまりにも普通に入ってきたので、私は拍子抜けし、同僚のサニーに確認しました。サニーは、にこっ、と頷きました。

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それから、赤ワインのボトルが次々と抜かれ、その部屋はパーティールームと化しました。その間、私はそのジャッキー・チェンと思われる男性を何度もチェックしていましたが、まだ半信半疑でした。あまりにも普通で、しかも想像していたよりも小さい。

そうこうしているうちにカラオケが始まりました。聞こえてきたのはジャッキーの代表作の一つ「プロジェクトA」の主題歌。すると、全員が総立ちになり、曲に合わせ、狭いVIPルームの中を行進し始めました、それもワイングラス片手に。みんな陽気に行進をしています。私は映画のワンシーンを見ているかのような錯覚に陥り、一瞬我を忘れました。これは本物なのかもしれない。

赤ワインが15本以上空になり、2時間のパーティーが終わろうとした時、問題が発生しました。付添いの日本人のクレジットカードがきれないのです。おそらく一日で上限を超えていたのでしょう。その様子を見ていたあの男性が私を呼び、カードを私に手渡しました。そのアメリカ製の黒いクレジットカードには英語で「JACKIE CHAN」。支払いは一発OK。本当に、今、目の前にいるのは、私が子供のころに夢中になっていたあのジャッキー・チェンその人なのかもしれない。

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そして、その時がやってきました。帰り際、いつの間にか寄ってきた背の高いブロンドの女性達が記念写真をお願いしています。その男性は快く了解し、両手に花の状態で二人の女性の肩に手をまわしました。あれっ、あんなに背が高かったかなぁ? 私は目線をその男性の足元に落としました。私は、思わず、にんまりとしてしまいました。

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その男性は、バレリーナの草刈民代さん並みに綺麗なつま先立ちをしているのです。まるで映画そのもの。顔を見ると、そこにはあのコミカルで愛嬌のあるいつものジャッキースマイル。私は確信しました、本物のジャッキー・チェンが、そこにいる。

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by tak6542 | 2012-12-02 00:34